金融政策の仕組みPart3~銀行のバランスシート~
金融政策の仕組み解説Part3です。
Part1,2をご覧になってないかたは下記リンクからどうぞ。
Part1 銀行の仕組み
Part2 市中銀行と中央銀行
はじめに
皆さんバランスシートって聞いたことありますか?
投資をしている方なら一度は聞いたことのあるワードだと思います。
企業決算だったりFRBのバランスシートの拡大・縮小など様々な場面で出てくるので、投資をするためには必須の知識です。
今回はバランスシートを知らない方にもざっくり解説しようと思います。
以下、バランスシートをBSと省略します。
そもそもBSって?
BSは貸借対照表とも言われ、財務諸表として企業の決算報告に使われます。
でもこのBSは企業の決算報告のためだけにあるものではないんです。
例えば私のBSも作ることができます。
どういうことか?
すなわち、BSは「どうやって資金調達し、どうやってその資金を運用しているか」
を明確にするためのものなんです。
例1
例えばAさんが働いてお金を100万円貯金し、そのうち50万円を株式投資に充てたとしましょう。
AさんのBSは以下の通りになります。
BSの右側には「どうやって資金を調達したか?」という項目が入ります。
例えば借金していたら負債の項目が増えますが、Aさんは全額自分の給料(現金)なので負債はありません。
BSの左側には「どうやって資金を運用しているか?」という項目が入ります。
Aさんは50万円を株式に、50万円を現金として持っています。
現金が資産に入るのに違和感があるかもしれませんが、自己資本50万円で現金50万円を持っていますよ、ということを示しています。
(ややこしいので株式の価値は変わらないものとします)
例2
Bさんが自分の貯金100万円、銀行からの融資100万円で不動産を100万円、現金を100万円持っていたとしましょう。
バランスシートは以下の通りになります。
Aさんと比較して負債の項目が増えましたね。そして見方は先ほどと同じです。
BSの右側、「どうやって資金を調達したか?」には、自分の貯金100万円と銀行から借りた負債100万円があります。
BSの左側、「どうやって資金を運用しているか?」には、不動産100万円と現金100万円があります。
(ややこしいので不動産の価値は変わらないものとします)
Bさんについて少し深堀してみましょう。
Bさんは銀行から年利3%でお金を借り、不動産の収入が年利8%あったとします。
BSにそのことを記述してみます。
こんな感じですね。バランスシートの右側(負債)から年間3万円抜けて、右側(資産)に年間8万円入ってくることがわかります。
何がいいたいかというと、資産は収入を生み、負債は支出を生む、ということです。
BSの変化
さて、収入8万円、支出3万円により年間5万円の収入が入るBさんですが、1年後のBSはどうなっているでしょうか?
まずBSの右側がどう変化するか考えます。
収入5万円は確実にBさんのお金であり、負債ではないのでこの5万円は自己資本に入ります。
続いてBSの左側も同様です。
自己資本が5万円増えたということは所持している現金すなわち資産も5万円増えることになります。
つまり、1年後のBSは以下のようになります。
自己資本と資産の現金の項目がそれぞれ5万円ずつ増えました。
すなわち、1年間で資産が200万円から205万円に増えています。
BSが縦に大きくなっているので、これをバランスシートが拡大する、なんて表現を使ったりします。資産が大きくなっているということですね。
逆に資産が小さくなればバランスシートが縮小する、と言います。
皆さんも一度ご自身のBSがどのように変化しているか確認してみてはいかがでしょうか。
銀行のBS
さて銀行の話に戻ってきました。
実際に銀行のBSを描いてみましょう。
例として、Part1で使用した下記の銀行のBSを作成してみます。
この銀行は、100万円を現金預金として預かり、2万円を準備預金として中央銀行に、残り98万円を貸し付けに使用しています。
枠の大きさはざっくりですがこんな感じになります。
BSの右側、「どうやって資金を調達したか?」には、民間からの預金が入ります。
民間には預金に対して金利を支払う必要があり、あくまでも銀行側からしたらお金を借りている状態なので負債になります。
BSの左側、「どうやって資金を運用しているか?」には貸付金と準備預金が入ります。
貸付金はローンに代表されるように金利収入が発生しますが、準備預金は収入を生みません(超過準備となれば話は別です)。
皆さんの預金が銀行にとっては負債になっているという点が面白いですよね。
でも銀行はそれを使ってお金を貸し付けているのでそういうものなんだな、と考えて下さい。
実際の銀行のBSは国債を持っていたり、株を持っていたり、自己資本(発行済み株式)を持っていたりするのでもっと複雑です。
本記事で銀行のBSのイメージが湧いたのなら幸甚です。
次回からいよいよ金融政策の仕組みに入ります。
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